永田町のはなし

政局のど真ん中、永田町でみたこと、きいたことをおはなしするよ

森友学園問題、自民党から火のでる怪

 昨日発売の週刊新潮に、森友学園の問題が大きく炎上したきっかけとなった共産党の質問は鴻池祥肇参議院議員(4期・衆2回・兵庫県選挙区、麻生派)サイドから共産党に進んで情報提供があった、その理由は鴻池議員が側近として使える麻生太郎財務大臣(12期・福岡8区)にまだ総理への色気があり、この政局で倒閣すれば、麻生氏に目があるからだという記事があった。

 読んだ時はそこまではちょっとなぁとおもったが、今朝の朝日新聞に船田元衆議院議員(11期・栃木県1区、額賀派)が森友学園についての政府の対応を批判的に語っている記事が出ており、おやと思った。

 船田氏いわく、森友学園の国有地取得のスムーズさを見る限り「特別な力」が加わった可能性が極めて高い、とかなり踏み込んだ発言をし、学園の籠池理事長の参考人招致も選択肢の一つ、と党の方針とは異なった考え方を披露している。

 自民党は内部での議論はトコトンするが、こうしてメディアをはじめ外に向けての異論の発信は嫌うので、船田氏の発言は異例だといえる。船田氏は作新学園の経営者なので、もしかすると同業者としての義憤なのかもしれないが、一方で政治家特有のポジショントークの可能性もある*1。いずれにせよ、与党のベテラン議員(鴻池・船田)がこの問題を燃え広がる方向へプッシュしている感があり、今後あらたに与党内から動きがあるかもしれない。

(参考)

自民・船田氏「特別な力学働いたと…」 森友問題に言及:朝日新聞デジタル

森友学園の異常さ | 船田 元 公式WEBSITE

週刊新潮』2017年3月16日号
 「謀略!? 共産党と組んだ「コンニャク会見」は「安倍潰し」」
 「籠池理事長」が籠絡したい本命は「麻生財務相」だった」

*1:もしかすると憲法審査会でヘマをして会長を辞めさせられた腹いせもあるかもしれない

おんぶ政務官の辞任

 視察に長靴を忘れておんぶしてもらった務台俊介内閣府政務官(衆2期・長野2区、麻生派)が、おとといのパーティーで「長靴業界が儲かった」と失言して、きのう政務官を辞任した。後任は麻生派で枠を守って長坂康正衆議院議員(2期・愛知9区)。

 失言で政務官が辞任するのは珍しい。それにしてもお粗末なのは冗談にしても面白くない部分が致命的で、こういった自虐の冗談は自分で言わずに、同僚の議員に「最近靴にはこだわっているみたいです」くらいのことを言ってもらうのが鉄則だ。自分で言うならせめて多少は反省した風に「以来、天気予報をよく見るようになりました」ぐらいにしとくべき。でもやっぱり自分でいったら反省してるように見えないよなぁ。

 

(参考)

www.nikkei.com

自民党内はゆるみきっているのか(中川俊直議員・前川恵議員の不倫疑惑)

 自民党中川俊直衆議院議員(2期・広島4区、細田派)と同じく自民党の前川恵衆議院議員(1期・比例東京、無派閥)の密会が今日発売のフライデーに掲載された。

 記事の内容は中川氏と前川氏が仲睦まじく食事をして、深夜に前川氏の(料理研究家としての)オフィスにコソコソと入ったという。当人同士は関係を否定したが、典型的な密会記事だ。

 前川氏は料理研究家で、初登庁時に記者からの質問に全く答えられなかったことで世間を騒がせ、第二のタイゾーかと言われた。一方の中川氏の親父は元自民党幹事長、中川(女)こと、中川秀直氏で、親子2代にわたる女性スキャンダル。なお、中川俊直氏は妻と3人の子供がいる。

 自民党堀内詔子議員(2期・北海道11区)と門博文議員(2期・和歌山1区)の路チュー、宮崎謙介議員(辞職)のゲス不倫ときて、今回また当選2回以下の安倍チルドレン同士の不倫疑惑となる。

 自民党は過去2回の衆院選でバカ勝ちしており、1,2期生が123人(292人中)もいる。人数が多いから質に問題があるのか、バカ勝ちしているから気持ちがゆるんでいるのか。一方で過去2回の選挙で同じように勝っている参議院で不倫がでてこないのはさすが良識の府といったところだろうか?*1

(参考)
『フライデー』2017年3月24号「ともに自民党・・・妻子ある中川俊直が前川恵と重ねる「真夜中の密会」」

*1:そういえば三原じゅん子参議院議員(当選2回・神奈川県選挙区、無派閥)がヒモを公設秘書にしてたとか、若い選挙スタッフとデキてたといったことが報道されていた。でも結局結婚したし、さすが良識の府

二階→茂木に激オコ報道が続くワケは

 人間関係のほころびはちょっとしたことで起こる。政治の世界の大部分が人間関係で形成されているとすると、軽口が始まりで大きな地殻変動が起こることがある。

 先月9日の週刊文春二階俊博自民党幹事長(11期・和歌山3区)に「老人特有の症状」がでているというディス記事が掲載されると、犯人探しが始り、翌週に文春のライバル誌・週刊新潮に情報源は茂木敏充政調会長だという記事がでた。

(参考 このあたりのことをまとめた記事)

seikyoku.hatenablog.com

 話しはそれで終わりかと思いきや、月刊誌や、今日発売の週刊現代にまで続報なしのほとんど焼き直しともいえる記事が掲載されている。燃え広がらないで燃え続ける珍しい現象が起こっている。

 言い出しっぺの茂木氏も軽口がここまで引っ張られるとはとても思ってなかっただろう。よっぽど二階幹事長が怒っているのか、あるいは茂木潰しに躍起になっている勢力がプッシュしているのか。

 当の茂木氏は「とんでもない」と否定しているが「オフ懇などで二階さんを揶揄するようなことを言っていたのは事実」(全国紙政治部記者)。ただ、「二階さんはボケているんじゃないか」という軽口事態は、麻生太郎財務相なども「鉄板ネタ」としてたびたび口にしている。茂木氏だけが責められるのも少し理不尽な気がするが……。
(『週刊現代』2017年3月18日号「妖怪・二階が激怒「オレがボケてると言ったのは誰だ!」」)

 なお、週刊現代では茂木氏だけでなく麻生太郎財務大臣(12期・福岡8区、麻生派)まで巻き添えを食らっている。

小泉進次郎が仕掛ける政局

 小泉進次郎衆議院議員(3期・神奈川11区)が自民党の農水部会長になって以降、農政は揺れに揺れながらなんだかんだでいい方向に進んでいると思う。つまり、農業はこのままではダメだというのは(農林族も含め)みんなわかっている*1、だけど族議員は利権を守る役割があって身動きが取れない、それを小泉ー奥原(農林次官)ー奥野(JA全中会長)ラインで改革をしていく、そのための敵役(かたきやく)として「人気者」の小泉氏が一定の役割を果たしている。小泉氏も自分の立ち回りを良くわかっていて、あえてメディアの前でわかりやすい非合理性(キャベツの出荷する段ボールの規格が数百あるんですとか)を示し、その一方で落としどころは政府の規制ではなく農協や業界での自己改革を促す、といった具合だ。

 先月、週刊ダイヤモンドに京都のJA系の卸会社が販売した新潟産のコシヒカリにかなりの割合で中国産の米が混入していたという記事が掲載された。事実だとすると衝撃的な内容だったが、この記事そのものが政局だったらしい。

bunshun.jp

 『選択』3月号にも「奥原農水次官に「続投説」終わりの見えない農協との泥仕合」でほぼ同様の内容(中川泰宏JA京都中央会会長を狙った)が記載されている。いずれも奥野会長の定年で次期会長をめぐる保守派と改革派の争いがあるという。70歳定年の規定を改定をすれば選挙にならないというが、さて……

*1:2014年の数字で農家の時給は544円。補助金を抜くと279円。平均年齢68歳。どうかんがえてもヤバい