永田町のはなし

政局のど真ん中、永田町でみたこと、きいたことをおはなしするよ

地方議員に活動費を配ることは違法か?

政治家は「目配り、気配り、カネ配り」ともいうが。。。

自民党衆議院議員の神谷昇代議士(かみたにのぼる当選2回・大阪18区比例復活、二階派)が総選挙に際して和泉市市議に10万~20万円を配ったことが報道された。

自民 神谷昇衆院議員 解散前後に市議に現金配る | NHKニュース

この話はかなりグレーなところだ。「選挙での応援(や投票)お願い」ということでカネ配りをすると一発アウトだが、一方で政治活動(後援会や党勢拡大運動)の一環として政治団体から政治団体への寄付(活動費の支給)は日常的に行われている。

宛名が党支部の領収書が同封されていたことから、裏金ではなく、オモテ金として扱おうとした意志はみられるが、衆院解散の前後という、選挙が見込まれるという時期について警察・司法がどう判断するか注目していきたい。

こういった選挙についての活動費まわりは地方によって大きな差がある。神谷代議士は泉大津市議、同市長までの経験があるから、もしかすると、こういうコミュニケーションは泉大津市では当たり前だったかもしれない。

また、神谷代議士の選挙区である大阪18区の他の地域(岸和田市泉大津市高石市)の地方議員も和泉市の議員と同様にカネのやり取りがあった可能性も当然あり、火は燃え広がる可能性がある。

公明・長沢広明議員(94万2266票)辞職で竹内真二氏(7,489票)繰上げへ

参院比例代表はときおり変なことが起こる。

昨年の参院選挙で山田太郎氏(参1・新党改革)が比例代表で29万票獲得して落選したことがウェブ上で軽く話題になった。29万票というのは自民党の公認なら7位、民進党共産党、維新の公認であればトップで当選する票数だ。

女性スキャンダルで公明・長沢参議院議員(参2衆1・全国比例)の辞職が行われるが、自動的に昨年の参院選で当選に至らなかった公明党の比例候補が繰りあがって当選する。

今回の場合、繰り上がるのは竹内真二氏(新人)。辞職する長沢議員は昨年の選挙で94万票を獲得しており、繰り上がる竹内氏は7500票だ。7500票といったら感覚的には県会議員とか政令市の市会議員の票数だ。これで残りの任期5年近く議員をやるのだから選挙はホントに何が起こるかわからない。

(参考)
www.jiji.com

公明党で女性スキャンダルは一発退場(長沢広明参議院議員・復興副大臣、議員辞職へ)

公明党の長沢広明復興副大臣(参2期・衆1期、全国比例)が議員宿舎に女性を連れ込んでいたとして議員辞職をすると山口代表が発表した。長沢議員は妻と1男2女の家庭もち。

副大臣の辞職でもなく、一発で議員辞職するところは公明党らしい。公明党創価学会の女性部が選挙での集票マシーンとなるため、公明党所属の議員らも、日頃から「女性問題はウチの党では一発アウト」とよく言っている。創価学会のおばちゃん連中がお父ちゃんの浮気を許すかどうかの世界なのだ。おばちゃんパワーおそるべし。

(参考)
www.jiji.com

中山恭子氏の小池新党入りで「日本のこころ」のカネはどこに行く?

続々と小池新党への参加表明が続いている。日本のこころ中山恭子代表の参加表明は驚いた。落選中の夫のためなのかと思うとすごいなあとも思うが、やはり気になるのはカネの話である。

日本のこころ」は知る人ぞ知る(むしろ誰も知らない)政党だが、政局ウォッチャー界では有名な金満政党である。

リクルート事件を契機に進んだ政治改革で現在の日本の政党は「政党交付金」によって支えられている。これは国民が年間コーヒー1杯分(約300円)のお金を政党に支払うような制度で、年間約300億円を各政党で分配している。

この政党交付金の分配ルールは政党所属の国会議員数と、過去の衆参の選挙での得票に基づいて支給されることになっているのだが、日本のこころは所属議員数2名にもかかわらず年間5億円を支給されており、社民党自由党よりも多い(両党は約4億円)。とにかく2人で5億円はすごい。

この金満っぷりは日本のこころのルーツに理由がある。日本のこころの前身は、次世代の党であり、さらにさかのぼると日本維新の会である。通常、新党の結成は既存政党からの離党者によってなされることが多いが、日本のこころの場合は前身の次世代の党が日本維新の会から正式に分派したため、日本維新の会の得票も均等割りで手に入れている。

つまり「日本のこころ」は誰も知らないような政党だが、政党交付金の計算においては、2016年参院選で獲得した「日本のこころ」の票以外にも、2014年の総選挙の「次世代の党」の比例票141万票や、2013年の参院選挙時の「日本維新の会」の比例票635万票をはじめ全国の選挙区の候補者が獲得した票が含まれているのだ。

(余談だが、新党を作る際、明らかに当選しないのに小選挙区に候補者を公認する理由も、その地域での比例票が見込める他に、小選挙区で公認候補が得票した票も政党交付金の計算に含まれるという事情がある。)

今回、報道の中では中山恭子氏が離党して新党に参加するのか、党を解党して新党に参加するのか言及はしていない。離党して新党に参加する場合は中野正志参議院議員(参1、衆3期、全国比例)1人の政党になり、1人で年間5億円を差配する立場になる*1。一方で解党した場合は政党助成法に基づき国庫に返還する必要があるが、やり方次第で抜け道もあるようだ。でも中野氏の立場だったら、新党にいきたきゃ出て行けって言いたくなるわな。まとまらんだろこれ。

なお、昨年末時点での各政党の資金残高は毎年11月に発表される。

(参考)

www.sankei.com

*1:おそらくきたる衆議院選挙で政党要件を失うので交付されるのは今年までだが

福田峰之議員が離党。小池新党立ち上げで自民党議員の離党は続くか

自民党福田峰之衆議院議員(3期・神奈川8区比例復活、麻生派)が離党して小池新党への参加を表明した。神奈川県の自民党では「四苦八苦(四区八区)」といわれるくらい、神奈川4区(浅尾慶一郎代議士)と神奈川8区江田憲司代議士)の選挙区が厳しいとされる。

現に今年7月に行われた8区内の横浜市議補選(緑区・補選定数1)では江田氏の秘書と福田氏の秘書同士での一騎打ちになったが、結果は34,925票と18,962票で江田氏秘書の圧勝であった。さらに今回の総選挙から選挙区割りの変更で、都築区の一部が8区に加わるが、住民の層から江田氏がさらに有利になると言われている。

たしかにだれでもヤバいと思う。でも比例復活を考えれば自民にとどまる選択肢もあったはずだが、見切っての離党を選択した。

実は神奈川県を含む「南関東ブロック(神奈川・千葉・山梨)」の比例復活当選の戦いはかなりシビアだ。前回2014の総選挙では8人が復活当選しているが、福田氏は最後の1席での復活当選であった。南関東ブロックの比例復活の状況をみてみると、神奈川では四区八区はもとい、9区の笠浩史氏、16区の後藤祐一氏、千葉では1区の田嶋要氏、4区の野田元総理ら野党勢が強く、山梨はコスタリカで1議席を名簿上位で確保しているうえに全2つの選挙区で自民が惜敗している。これら状況を考えるときたる選挙で福田氏は比例復活もできずに落選する可能性もある。

さらに福田氏は2回連続で小選挙区で江田氏に敗れ、比例復活当選をしているから、次に落選となると党内で支部長(=公認)の差し替え話がかなり具体的になって来るだろう。そう考えると離党は合理的な選択か(?)

この後自民党現職の離党が続くのかが注目される。続くとすれば東京の現職だが……

(参考)
【衆院解散】福田峰之副大臣が新党参加表明 「社会望む人材出したい」 自民離党へ、若狭勝氏と会見 - 産経ニュース