永田町のはなし

政局のど真ん中、永田町でみたこと、きいたことをおはなしするよ

稲田朋美防衛大臣の爆弾は森友ではなく日報だった

 人間、運の弱ってるときは、続々と悪いことがやって来るものらしい。森友学園問題で結果として事実と異なる答弁をした稲田朋美防衛大臣(4期・福井1区、細田派)。今度は南スーダン自衛隊の日報問題でまた炎上しそうだ。

 この南スーダンの日報問題、すこし事情が分かりづらい。というのも同じような話がちょうど1か月前も報道されているのだ。話をまとめると以下のようになる。

  • 2016年10月、ジャーナリストの布施祐仁氏が7月の南スーダンの日報について情報公開請求をする
  • 2016年12月、防衛省が「破棄したから不存在」と回答する
  • 自民党河野太郎衆議院議員(7期・神奈川15区、麻生派)が絶対あるはずとして再度調査を指示*1する。
  • 2017年2月防衛省統合幕僚監部にデータがありましたとして一部情報を公開。→この時点で一度大きく報じられる
  • 2017年3月(今回)統幕だけではなくて、陸自にもありました、さらに削除指示がでてました?と報じられる

 とまあ、こんな流れだ。ポイントは河野太郎氏の動きで、彼が再調査を指示しなかったらうやむやになって終わってたかもしれない。河野太郎氏は3月10日発売の『文芸春秋』4月号にも「文科省国立大「現役出向」241人リスト」なる記事を寄稿しており、「この人、与党なのに大丈夫なの?」と思うくらい外に向けて政府の問題点(天下り)を指摘している。

 森友問題でも河野氏と同じ麻生派鴻池祥肇衆議院議員(4期・衆2回、兵庫県)が共産党に情報提供するなど相当ブッコんでるし、うがった見方をすれば、麻生派議員がいろいろと油をまいてる?とも想像ができる。とにかく森友、南スーダンの日報、と2つとも自民党議員のバックアップが火に油を注いで政局案件に発展している*2

*1:

南スーダンPKO 「日報あった」 河野太郎議員

*2:鴻池議員のブッコミは麻生大臣を守るため?という説もあるが。

旧維新の党、江田系と松野系が民進党内で分裂

 もはや追っかける意味もあるのか不明だが、民進党内で旧維新の党系の派閥が分裂した。

民進・江田憲司代表代行が新グループ結成 旧維新は完全に分裂 - 産経ニュース

 すでに1月に松野頼久衆議院議員(6期、熊本1区)が党内で新しい派閥を作ると報道があって、今度は江田憲司衆議院議員(5期・神奈川8区)らが新グループを発足させたという報道になる。

 松野氏・江田氏は民進党に合流する前は共に維新の党におり、その前は松野氏は維新の会、江田氏は結いの党にいた。つまりは2人は民進党に合流した後に、民進党内で元々のグループに分裂して戻ったってことでしょ。細かいメンバーの移動はあるんだろうけど。ポスト蓮舫の動きの一貫なんだろうね。

(↓赤字のグループと、青字のグループが民進党内でまた割れたというだけでしょ)

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稲田大臣、結果的に虚偽答弁になってしまったがどうなるか

 森友学園の籠池理事長とは関係がないと言った稲田朋美防衛大臣(衆4期・福井1区、細田派)の答弁が事実ではなかったらしい。

 国会で大臣がウソの答弁して、すぐに露見したケースというのはあまり記憶がない。気になるのはこれがもとで辞任になるかどうかだ。感覚的には、「虚偽答弁」と言われれば辞任もありうると思うが、一方で、悪意もなく、単純に記憶違いな感じもするので続投と言えば続投もありうるか。非常に微妙なところである。

 しかし虚偽にせよ、記憶違いにせよ、お粗末すぎる印象はぬぐえない。どこかのタイミングで金田勝年法務大臣(衆3、参2回・秋田2区、額賀派)と共に交代だろう。マスコミの間では予算が通った後の4月でミニ内閣改造があるんじゃないか説が流れている。

www.jiji.com

都民ファーストの会は今のうちに都議団の規約をビシっと決めたほうがいい

 今日発売の週刊ポストに都議選の議席予想がでていたが、すごい内容だった。

 なんでも小池新党が都議選で定数127のうち58議席前後を取るという。都民ファーストの会は現有5議席だから10倍以上の大躍進だ。予測では定数1の選挙区はもとより、定数3の選挙区では2議席まで取れるというんだからすごい。

 とまあ、ここまで大勝する勢いなら今のうちにやっておくべきは、大きく議席を増やした後、どうやってまとまっていくかを考えるべきだ。特に両角穣都議(1期・八王子市)、上田令子都議(1期・江戸川区)、音喜多駿都議(おときた・1期・北区)の都民ファーストの会の幹部3人はみんなの党で当選して、会期が始まってわずか3日目に分裂をしたあの苦い経験はまさか忘れてはいまい。

 具体的には、今のうちに都議団の政策や、人事はどう決めるのかなどをしっかり組織図を書いて規約を定めておくことだ。政策については党内では議論をするけど、党として機関決定をしたら党議拘束をする、としないとあっというまに分裂する。たとえば今回の豊洲のような難しい政策課題が出てきたときに、それぞれ議員個人の意見が党の決定に勝つ状態だと、分裂することになる。特に知事与党だからこのあたりでモタつくと議会内だけでなく、都民のくらしにも影響がでる。

 あと特に気を付けないといけないのは人事決定権と地方選(市議、区議、首長)・国政(衆参議員)選挙の公認と応援だ。

委員長・議長の人事は不満の種になる

 人事については選挙で大躍進をすると、議席に応じた議会のポストが回ってくる。つまり1年生議員の委員長が誕生することになる。もしかすると議長ポストもまわってくるかもしれない。この辺の人事権の扱いをあらかじめ決めておかないと、そのたびに党内で不満が残ることになる。同じ一年生でも、あいつは委員長で、おれはヒラかよ、みたいな。

 党も人数が増えることになるから党の役職と役割・予算の割り当ても決め方を決めないとケンカの素。ものすごい細かいところでは、会派割り当ての公用車の使用ルールなんかも決めないと火種になるよ。

国政と首長・地方議員の選挙についても考えとかないと死ぬ

 もうひとつ重要なのは国政や首長や地方議員の公認についてだ。これはホントに争いの火種になる。例えば衆議院が解散になった時のことを想定すると分かりやすい。今回、小池ブームに乗っかって都議になるような人は、きっと上昇志向の強いタイプだろう。果たしてそういう人が、小池新党の衆議院の候補者(例えば公募の落下傘で新人)をどう見るのだろうか。「ホントは俺が(私が)衆議員になりたいのに」と思ってるかもしれない。しかも都議になった方が、都民ファーストとして入党歴も長いし、議員歴も長いことになる。当然こいつを公認するなとか、おれは応援しねえ、ということになる。区議市議についても同様。

 首長選の応援も、党の決定云々のルールを決めておかないと、都民ファーストの会の都議や市議で分かれて別の候補者を応援するなんてことも起こるかもしれない。つまり、小池新党、都民ファーストの会としての候補者の「公認」と「推薦」のプロセスと、該当選挙区の応援体制についてきちっと決めとかないと、選挙のたびに分裂含みになる。

  音喜多幹事長をはじめ幹部の方は第三局の分裂を間近で見てきたんだから、是非そうならないように取り組んでもらいたい。

(参考)
週刊ポスト』2017年3月31日号「小池新党<呆れるほどの>圧勝!!-史上初の東京都議選議席を完全予測2」

民進党 党大会、全く政局の中心に出てこれない状態

 ここにきて5月、6月解散説(都議選同日)がウワサされるようになってきた。だけど、これら解散政局の中心は「小池」であって、政局に民進党の影はまったくない。森友学園の話も予算委員会中に持ちあがった話で、突き詰めれば倒閣まで行きそうな素材ではある。しかし民進党にイマイチやる気がないのは、追い詰めれば安倍総理がキレて解散してしまうという恐怖感が民進党内にあるのかもしれない。解散すれば民進は現有96議席よりさらに議席を減らす可能性がある。

 結局のことろ、いまの民進党は過去にうやむやに終わらせた2つの問題によって何をやっても支持が集まらない状態になっている。

 ひとつは民主党政権時代の記憶、もうひとつは蓮舫代表(参3期・東京選挙区)の国籍問題だ。

 一つ目は民進党の議員がどんなに政権に批判をしても、安倍総理が「民主党政権に比べれば~~」と切り返されるとグウの音もでない。これはもう建前上は民主党から民進党に衣替えをしたことになっているんだから、ぬけぬけと「なにいってるんですか、うちは民進党ですよ」と図太くいう必要がある。だけどいったところで国民も納得しないし、現状そういう議員がいないのは、党内でも民主党から本当に衣替えしたと思ってる人もいないんだろう。実際に解党したわけではないし。この状態ではいつまでたっても民主党時代のことを言われてしまう。本当に政権交代を目指すのであれば、どこかのタイミングで強い決断は必要だろう。

 2つめの蓮舫代表の国籍問題。これも決着がうやむやになっているのが致命的で、蓮舫氏がどんなに良いことをしても(どんな批判をしても)「じゃあお前の国籍問題はどうなったんだよ」と言われて終了。こちらも何らかの形でしっかり決着をつけるべきであった。今となってはもう遅いか。民進党としては都議選の結果をうけて代表の辞任まちなのだろう。民進党の都議としてはいい迷惑で、民進党内の権力争いで見殺しにされている。離党者がでるわけだ。

Yahoo!のトップに見出しが出ていて、どうせ産経だろうと思って飛んだら朝日の記事だった。
蓮舫氏、求心力低下止まらず 民進党大会で衆院転出明言:朝日新聞デジタル

 朝日にこんな見出し書かれるようじゃほんとにマズイ状態だよね。