永田町のはなし

政局のど真ん中、永田町でみたこと、きいたことをおはなしするよ

中山恭子氏の小池新党入りで「日本のこころ」のカネはどこに行く?

続々と小池新党への参加表明が続いている。日本のこころ中山恭子代表の参加表明は驚いた。落選中の夫のためなのかと思うとすごいなあとも思うが、やはり気になるのはカネの話である。

日本のこころ」は知る人ぞ知る(むしろ誰も知らない)政党だが、政局ウォッチャー界では有名な金満政党である。

リクルート事件を契機に進んだ政治改革で現在の日本の政党は「政党交付金」によって支えられている。これは国民が年間コーヒー1杯分(約300円)のお金を政党に支払うような制度で、年間約300億円を各政党で分配している。

この政党交付金の分配ルールは政党所属の国会議員数と、過去の衆参の選挙での得票に基づいて支給されることになっているのだが、日本のこころは所属議員数2名にもかかわらず年間5億円を支給されており、社民党自由党よりも多い(両党は約4億円)。とにかく2人で5億円はすごい。

この金満っぷりは日本のこころのルーツに理由がある。日本のこころの前身は、次世代の党であり、さらにさかのぼると日本維新の会である。通常、新党の結成は既存政党からの離党者によってなされることが多いが、日本のこころの場合は前身の次世代の党が日本維新の会から正式に分派したため、日本維新の会の得票も均等割りで手に入れている。

つまり「日本のこころ」は誰も知らないような政党だが、政党交付金の計算においては、2016年参院選で獲得した「日本のこころ」の票以外にも、2014年の総選挙の「次世代の党」の比例票141万票や、2013年の参院選挙時の「日本維新の会」の比例票635万票をはじめ全国の選挙区の候補者が獲得した票が含まれているのだ。

(余談だが、新党を作る際、明らかに当選しないのに小選挙区に候補者を公認する理由も、その地域での比例票が見込める他に、小選挙区で公認候補が得票した票も政党交付金の計算に含まれるという事情がある。)

今回、報道の中では中山恭子氏が離党して新党に参加するのか、党を解党して新党に参加するのか言及はしていない。離党して新党に参加する場合は中野正志参議院議員(参1、衆3期、全国比例)1人の政党になり、1人で年間5億円を差配する立場になる*1。一方で解党した場合は政党助成法に基づき国庫に返還する必要があるが、やり方次第で抜け道もあるようだ。でも中野氏の立場だったら、新党にいきたきゃ出て行けって言いたくなるわな。まとまらんだろこれ。

なお、昨年末時点での各政党の資金残高は毎年11月に発表される。

(参考)

www.sankei.com

*1:おそらくきたる衆議院選挙で政党要件を失うので交付されるのは今年までだが