永田町のはなし

政局のど真ん中、永田町でみたこと、きいたことをおはなしするよ

塩村文夏(あやか)都議、次期衆議院選で民進党から立候補

 塩村文夏都議(1期・世田谷区選挙区)が次期衆院選で、民進党から広島3区から立候補すると表明した*1

 広島3区河井克行首相補佐官(当選6回・無派閥)は自民党内でアメリカ通というキャラを確立しており、TPP交渉だったり、大統領選前後にも渡米して情報収集をしている。安倍総理の側近の一人と言われている。松下政経出身。

 選挙も弱くはない印象だったが、2009年までは増原義剛氏とのコスタリカだった上、その2009年では民主党候補相手に比例復活もできずに自民候補が負けている。

 着目すべきは選挙区と塩村氏との相性だ。選挙区の票田である広島市安佐南区では、無所属のアナウンサーが市議選でトップ当選していたり、同区の県議選では40代の小奇麗な女性(自民・4期)がトップ当選、安佐北区では30代の元モデル(自民・2期)が現職でいる。女性議員は二人とも29歳で初当選している。塩村氏を受け入れる土壌は十分にあるだろう。逆によくこんな選挙区よく見つけたな。

 塩村氏は実父らが約2億円の損害賠償を払っていないというスキャンダル*2を抱えているが、一方でセクハラ野次の被害者という知名度に加え、相手の河井補佐官は昨年文春で秘書や役人に対する「パワハラ」報道*3がされている。セクハラの次はパワハラ被害者になるのか。

河井氏としては手ごわい相手だろう。

安倍総理は森友学園追及を逃げ切れるか

 昨日2月27日に衆院で29年度本予算が本会議で可決された。今回の予算委員会稲田朋美防衛大臣(福井4区・当選4回)の日報問題、金田勝年法務大臣(秋田2区・衆3回、参2回)のテロ等準備法案の答弁、そして森友学園が政権追及の材料だった。個人的には稲田大臣の答弁ぶりがよろしくないのが印象的だった。安倍総理は今後も稲田氏を引き立てていくのだろうか?と思うぐらいのフラフラ答弁だった。当選4回での大臣抜擢にやきもきする入閣待望組も溜飲を下げたのではないだろうか。

 さて予算審議の場は参議院に移るが、参院でのヤマは森友学園問題だろう。この問題の発端は豊中市に売却した国有地の価格が14億2300万円、森友学園に売却した価格が1億3400万円で、その理由が非公開になっているという朝日新聞のスクープ(2月4日)だった。それが次第に森友学園経営の塚本幼稚園の超右翼的な思想教育や、処理費用として土地価格から相殺されたはずのゴミが処理されていなかったりと、掘れば掘るほど問題が出てきている。安倍昭恵首相夫人が名誉校長うんぬんの周辺問題はおいておいて、政治的介入の有無、おそらく有りという証拠は出てこないだろうけど、野党側としてはどれだけ黒いように見せられるかが勝負になるだろう。攻めたいからと言って、昭恵夫人の発言やら総理と理事長との個人的関係やら日本会議やら思想教育やらにウイングを伸ばすと議論が散漫になって詰め切れない。

 自身周辺で出た初めてのスキャンダルを安倍総理はかわしきれるだろうか。参院予算委員会は今日2月28日の午後から。 

(参考)
森友学園 安倍晋三記念小学校錬金術の不可解」『サンデー毎日』3月12日号
「安倍夫妻と「愛国」理事長」『週刊朝日』3月10日号

安倍総理-菅官房長官ラインは終わるのか

昨年の内閣改造自民党役員人事以降、二階俊博幹事長を中心に党の力が強まっているのは周知の事実だ。

反面、影が薄くなりつつあるのは菅義偉官房長官(神奈川2区・当選7回・無派閥)。今思えばの話だが、菅官房長官のほころびの始まりは昨夏の参院選で、おひざ元の神奈川県選挙区(改選4議席)で自民党の2人目の候補者で中西健治氏の公認問題があったころからだ。

中西議員は2010年の参院選みんなの党で当選後、麻生太郎財務大臣に気に入られて、みんなの党解党後に自民党会派入り。2016年の選挙では結局自民党の公認を得られず無所属で出馬して、当選直後に追加公認になった(当選2回・その後麻生派入り)。週刊誌では、三原じゅん子を推す菅と中西を推す麻生の代理戦争なんて記事がよく出ていた。マア、実際は菅は三原じゃなくて、公明党の新人をやってたって噂があるが。とにかく、三原じゅん子を推す自民党神奈川県連(と菅官房長官)はなりふり構わず中西氏を落とそうとしたが、麻生派の全面バックアップで結局中西氏は当選した。これが菅氏のほころびの始まりだったようにに思う。それまでは菅氏批判の記事なんてあんまり見なかったけど、参院選中くらいからチラホラでてきた。

さて今日(2月27日)発売の『週刊ポスト』は嵐の櫻井翔報道ステーションの小川キャスターの恋愛の記事に目が行くが、ひっそりと「安倍・麻生・二階が狙う菅義偉「政治的暗殺」なんて記事がある*1

新しいことは書いていない(唯一、甘利氏の麻生派入りは安倍総理が菅氏同席の場で麻生氏に頼んだということは初耳だ)が、最近の稲田防衛相や金田法務相らの批判に対してのダメージコントロールが聞いていないのは菅官房長官の影響力が低下しているからだという。記事によると昨年の内閣改造時に菅氏が幹事長ポストを狙ったことで総理の不興を買った。一方の二階幹事長は「官邸」から権力を「党」に引っ張る思惑があり、麻生副総理は大宏池会を作って、安倍退任後は自身の率いる大宏池会と、安倍の出身派閥である細田派の中から、2人で総理を選ぶキングメーカーになることを目論んでいるという。安倍・二階・麻生それぞれの思惑がある中で、菅氏の権力を削りにきており、その試金石が予算成立後に内閣改造を行い、菅氏が外れるという記事だ。

官房長官は党内の基盤が弱く。これまでは神奈川県内の無派閥の議員は菅に近いといわれていたが、甘利氏らに4人も対立する麻生派にもっていかれた。先週、記事にも書いたが、甘利氏ら5人の麻生派入りは、意外な思いだった。どちらかといえば、菅氏に近いと思っていたから。これは我々が感じている以上に党内で菅氏の影響力が低下しているのだろう。とはいえ菅氏は党外におもしろい人脈を持っていて、維新の会の松井代表・大阪府知事とも緊密だ。一時は菅氏は自民党内の菅派を作るために維新の会に肩入れしてどっかのタイミングで自民と合流させて菅派をつくる気だ、なんて噂もあった。菅氏が党外の資産をどのように活用できるか着目していきたい。

無所属議員の自民党政調会出席のはなし

自民党会派入りした無所属議員が自民党政調会部会に出席が可能になった件について、産経に小泉進二郎氏のインタビューが載っていた。いまさら感があるが。

【政界徒然草】自民部会に無所属議員の出席を小泉進次郎氏が認めたくないワケ 「産経の社説をフリーライターが書くことあるのか」(1/4ページ) - 産経ニュース

この政調会への出席の話しは昨年暮れ(2016年12月)突然ふってわいたように出た。旧みんなの党浅尾慶一郎衆議院議員(神名川4区・当選3回(プラス参2回))、和田政宗参議院議員宮城県選挙区・当選1回)が所属政党無所属で衆議院自民党会派入りした後だったと思う。

すこしヘンな話だが、要するに政党としての自民党には入らない(反対があって入れない)が、国会の中では自民党グループの一員として活動するという話だ。2人の場合は将来的には自民党にも入る、という意思表示が含まれている。

これまでも、無所属のまま自民党会派に入っている議員はいて、物理的に国会内で行う自民党のイベント(つまり院内会派自民党」として行うイベント)に彼らは出席できていたという。自民党政調会は国会内ではなく、永田町の自民党本部で行うから、報道されている通り、一歩容認した形になる。

一連の報道からは、二階幹事長は自身のポジションを使って二階派勢力拡大を狙っているということと、小泉進二郎氏が同期当選議員に意外にも熱い対応をとっているという印象を持っている。

高まる内閣支持率と小池期待

月一回の世論調査による内閣支持率

  • 読売新聞 66%(5ポイント増)
  • 産経・FNN 58.8%(1.8ポイント減)
  • 毎日 55%(変化なし)

一週間前に発表された時事・共同は共に約2ポイントの増の53%、61%だった。

世論調査は調査によって10ポイント以上支持率に開きがあるが、すべての調査で50%を超えていることをみると安倍政権は厚い支持をされている政権といえる。

また、こういった調査で重要なのは向きをみることで、前回より上がったのか、下がったのかの方向に着目するのが良い。この意味でも上向きといえる。

 

さて、一方で7月に都議の選挙のある東京の小池知事の期待も相変わらず高いようだ。現段階では小池知事の態度がハキとしないところが気になる。公認も60人以上(つまり過半数を狙う)といっているが、現段階での公認は現職のみで「60人以上」という発言そのものが脅しのカードになっている。わたしには小池知事はぎりぎりまで都議会自民党との対話を伺っているようにみえる。公認をして、自民党と全面戦争をするよりも、自民党を取り込みたいという思いがあるまだ強いのだろう。

選挙については現段階の状況で選挙に突入できれば、都民ファーストの会の公認候補がバカ勝ちをするだろう。定数1での当選はもとより定数3で2議席取るといった事象もあるかもしれない(そもそも定数3で2人を公認をするかは不明だが、河村名古屋市長が大勝した直後の名古屋市議選ではこういったことも起きたようだ)

特に知事選で得票率の高かった23区内は猛烈な小池旋風が吹き荒れるだろう。ただし、選挙後はこれまでの第三局のたどった道を迎える可能性が高い。過半数はとるものの、ぽろぽろぽろぽろと離党したり、議員の凡ミスや不祥事がおこる。そのたびに小池新会派(=小池知事そのもの)の支持を落とすことになる。それを考えると自民党を取り込んだ方がよっぽど小池にとってはメリットのあることなのだと思う。