永田町のはなし

政局のど真ん中、永田町でみたこと、きいたことをおはなしするよ

与野党国会議員で薬物疑惑報道

 日刊ゲンダイ自民党の有力議員に覚醒剤疑惑が報じられ、つづいて東スポで野党議員の大麻吸引疑惑がでた(下部にリンクあり)。こうしてポンポンと立て続けに議員の薬物報道がでるのも珍しい。

 議員と薬物関連では、中国で覚醒剤を所持しているとして拘束された愛知県の稲沢市議や、横浜で逮捕された神奈川県の葉山町議がいる。国会議員では2005年に旧民主党小林憲司氏(逮捕時落選中、愛知7区・当選2回)が覚醒剤で秘書もろとも逮捕されているが、逮捕時は落選中でタダの人であった。落選した1週間後に逮捕されているから、現職の国会議員を薬物で挙げるのは難しいのかもしれない*1

 国会議員は会期中の不逮捕特権があるが、葉山町議のような現行犯の場合は普通に逮捕される。以前、六本木で女性に抱き着いて現行犯逮捕された自民党中西一善衆議院議員(2005年当時。当選1回・東京4区)は夜更けの取調室で「私には不逮捕特権がある」とすごんだとか、すごまなかったとか。

 とにかく政治家や政党は新聞の「社会面」に載ると大打撃を受ける。これは森友の話も同様だが、日頃、手なずけている政治部の記者であれば政治家に対しての手心もあるだろうが、社会面を担当するのは「一度限りの関係」である社会部の記者やワイドショー記者で、彼らは政治家に遠慮がない。現段階ではタダの与太話に過ぎないが、本当に逮捕されるようなことがあれば、それなりの政局になる可能性がある。補選にはなるだろうし。

 

(参考)

自民現役国会議員の逮捕情報に続き衝撃!野党有力議員にも薬物疑惑 (東スポweb)

www.nikkan-gendai.com

*1:そういえば去年逮捕された高樹沙耶氏も落選してから逮捕された。当選してたらどうだったんだろうね

森友学園の問題は空気を読むことに長けた役人の物語だった。

 恥ずかしながらこの一連の騒動で「忖度(そんたく)」という言葉を初めて知った。今年の流行語大賞も狙えるだろう。委員には是非この気持ちを忖度してほしい。

 さて先週の森友学園の籠池理事長の証人喚問から時間がたった。問題の舞台は経産省から総理夫人付きとして出向していた谷査恵子氏の存在に移っている。

 鴻池議員が「コンニャクがー」とか言ってた時にはよくわからない話だったが、ぼんやりと話の筋が見えてきたように思う。ポイントは2つある。

 一つは安倍昭恵総理夫人の周辺が動いていたということだ。

  • 森友学園の要望を総理夫人が(物理的に耳から)聞いた
  • 総理夫人付きの役人が進捗状況を照会した

 この2つは事実だ。そこからはそれぞれがついているポジションで都合のいいように行間を読む世界だ。野党からすれば、「総理夫人付き」の職員が私的にかつ事務的に照会をするわけがない、総理・総理夫人の意向を盾に上の方で話をつけたんだと言っているし、逆に総理を守りたい自民党からすれば、事務的に照会したんだとタテマエしか言わない。

 しかしここにきて「安倍昭恵さんは私人で、総理夫人付きの職員も私的森友学園に同行し、私的に関連部署に照会して、FAXも谷さんが私的送信して保管していた」という政府側の話の整合性はかなり苦しくなっているように思う。ただ、あくまで「整合性」の話はである。ディベートのような論理ゲームなら整合性が崩れた時点で負けだが、政局ゲームの勝敗は国民がどう思うかだ。

 もう一つは取得した土地の話だ。当初は格安に値下げをされた、という報道であったが、だんだんと土地の値段はまあ相場通りだったんじゃないか、財務省としても価値のない土地を処分したかったというような背景がみえてきた。

 この森友学園の問題は、当初は、政治家が強い意向を働かせて、無理やり土地を値下げしたり、手続きを捻じ曲げたりして便宜を図ったという疑惑だった。しかしここにきて見えてきたのは、意図的に便宜を図ったのではなく、総理夫人からの問合わせについて、役所側が過剰反応してこれは「総理案件」だから下手に騒がず進めようというものだったのかと思う。役所の中でも要望に対して空気を読んで話を進めることがあると聞く。森友学園の事案は忖度が過剰に働いた、あるいはアッキーにそんな気持ちはないのに役所が勝手に空気を読んで進めてしまった、というもののように考えている。

森友学園、問題の行方はワイドショーが決める

 森友学園の籠池理事長の国会での証人喚問がおわった。印象としては籠池理事長は質問に対してオドオドすることなく、ハキハキと答えていた。プレゼンテーションの効果なのか、何度も何度も「安倍昭恵夫人から100万円の寄付をいただいた」と堂々と証言されると、こちらまで、あれ、寄付は本当なのかな、もしかするとアッキーがウソついてんのかな、と思ってくるから不思議だ。証人喚問後に昭恵夫人facebookで寄付金について「その旨の記憶がない」という表現で否定しているのも引っかかる。なんで、もっと強い表現で否定しないのだろうか。

 結局のところ、籠池証言によって今後については3つの方向が固まった。

  1. 東徹参議員ー松井大阪府知事への批判・責任追及
  2. 安倍昭恵夫人との証言のズレの追求と、おつきの経産省職員を通じての口利き疑惑
  3. 自民党柳本卓治参議員への事実確認・追及

 1について、今日の喚問では自民党はなんとしても維新(大阪府)への責任追及に誘導したいんだな、と思うような内容だった。午前中トップバッターの自民・西田昌司参議院議員(2期・京都、無派閥)は「問題の本質は、資金が足りないのに小学校建設を認めた大阪府の対応」と問題のすり替えをしていた。どう考えてもこの問題の核心は「土地取得について政治家の関与があったかどうか」だ。ただ、あれだけ松井知事の名前が出てくる以上、舞台は大阪府の対応に移るかもしれない。

 一方の野党は昭恵夫人と籠池理事長との発言の整合性を攻めてくるだろう。100万円の寄付はそれ自体は問題にもならないくらいの小さな話だが、「小学校の建設に私か妻がかかわったのなら、議員も総理もやめる」といった安倍総理の発言と、偽証も問われる証人喚問という重い場で証言した籠池理事長の発言に対して、昭恵夫人facebookだけでいいのか、という話にもなるだろう。

 3については早くもコメントで事実を否定したし、スルーされそうな感じ。確かに柳本卓治参議院議員(1期・衆6回、二階派)といっても誰?という感じで燃え上がらなそうだ。

 最近炎上している森友学園豊洲の問題は、ニュース番組ではなく、ワイドショーで取り上げられて燃え広がっている。昨日の証人喚問を受けての反応も、新聞や21時-23時代の報道番組ではなく、むしろ朝昼のワイドショーの報道のされ方で今後の行方が決まる。

石原宏高議員、コンビニの朝飯まで政治資金計上

 政局でももはや何でもないが、今日発売の週刊文春に石原宏高衆議院議員(3期・東京3区、石原派)が朝にコンビニで買うパンやコーヒーの代金を、自身が代表者である自民党支部で計上をしているという記事がでている。豊洲の問題がなければ石原慎太郎氏も着目されず、親父が目立たなければ石原宏高氏なんか調べないだろうから、豊洲から流れ弾が飛んできた形だ。ちっちぇ流れ弾だ。

 記事で指摘されているのは2010年~2012年分の収支報告書で、舛添知事がケチが原因で辞任し、政治資金と私用の費用がクローズアップされた時よりもずいぶん前の話で気の毒だなと思う面もある。また記事中には一切触れていないが、石原氏は2009年の民主党政権交代選挙で落選しており*1、文春の記事は浪人中の話である。

 浪人中であることを加味すると「カネに困ってたから政治資金からだしてたのか」ととるのか「議員でもないただの人なのに文春はこんなことを書くのか」ととるのかは微妙なところだが、まあケチなのは間違いない。

(参考)
週刊文春』3月30日号「春の夜の夢/石原宏高「スタバでひとり朝食」も政治資金の金銭感覚」

bunshun.jp

*1:2012年12月の総選挙で返り咲き

白石徹議員死去につき愛媛3区で補欠選挙になる見込み(10月29日投開票)

 さる17日、愛媛県第3選挙区選出の白石徹衆議院議員(自民・2期、麻生派)が死去。10月29日(日)に補欠選挙になる見込みとなった。

 白石氏のことは訃報で初めて知ったが、60歳というから若い。補選の規定では3月15日までになくなると4月の第4日曜日に行われるはずであったから、関係者にとってもしっかり冥福を祈ってから補選に臨んでほしい。

 なお選挙区の愛媛3区は新居浜市西条市四国中央市の3市で、保守的な地域だろう。四国中央市に至っては、県会議員の定数3のうち3人とも自民系だ。

 昨年の参議院の選挙の愛媛三区内の比例投票先は以下の通り。

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 自民5万7000、公明2万、民進2万9000、共産1万だから今のままではこの議席は動かないだろう。あるいは10月までに解散して総選挙になっている可能性もなくはないか。